【ネタバレ】ブラッドボーンの考察 ソウルシリーズとの繋がり

ブラッドボーンだけでなくデモンズソウルやダークソウル1,2,3の核心に触れているので
全部クリアしていない人は見ないように















ブラッドボーンのストーリーとはソウルシリーズに共通する
ソウルの業や灰の霧がどのように発生するかを説明するものである

アーマードコアシリーズがロボットアクションを存分に行うための世界観、設定でありそれを元にストーリーが繋がっているように
ソウルシリーズもまた一方でゲームの中の「死に覚え」という性質に関連する、それに意味やプレイする意義をもたせる世界観、設定が作られている

宮崎英高によるソウルシリーズという括り方には違和感があるという旨の発言は
ブラッドボーンに見られたソウルシリーズのお約束を崩した新たな方向性を進めてせきろを作っている事と
デモンズソウルやダークソウルシリーズの雰囲気を損なわせずそれらの世界で語られていない部分についての余地を確保する意図があったと考えられる


ダークソウル2で、主人公は最後に立ち去る選択をすると世界からソウルの業を取りあげる
にもかかわらず、時が経つとまた世界にはソウルの業が発生し同じようなことが繰り返される
それは3で直接火防女の台詞によって説明されている
俺は3クリア時はブラッドボーンだけ未プレイだったので、
3では世界がデモンズソウルからずっと繋がっていることと、火継ぎや王などダークソウルシリーズのことは説明されたものの
『ソウルの業』や『灰の霧(色のない濃霧)』の発祥やそもそもなんなのかという詳細は
2でほのめかされたのみで語られずわからないままだった

当時俺は公にされている通りブラッドボーンはシステムを流用しただけで世界観は無関係の別ゲーであり、
ダークソウル3はダークソウルの完結編ではなくソウルシリーズの完結編と思っていたので
3の終わり方はあらゆる謎が解かれた一方でシリーズの核心の謎だけを残しわずかに心残りのある終わり方だったのだが
ドボを聖杯ダンジョンまでプレイしてわかった、ドボで既にそれは語られていたのだ


不死身の人間(女)が自然発生する

その血を薄めて体内に入れても不死身になる(拝領、濃度が高いと拒否反応で劇毒)

不死身になると移植された後天的な不死者のでもいいのでもっと不死身の血がほしくなる(獣化、灰血病、遅効毒)

不死身の死体を焼き尽くすと灰や骨が色々すごい力を持ってるし、不死身の肉体には人体実験がやり放題で新生物が作れる

不死身の灰を霧状にして空気中に拡散すると時空を超えて想像や思念が形をなすヤバい空間ができる(夢、悪夢)

体を構成する要素の不死身成分が高かったり耐性、不死身成分への適応性があるほどその力を自由に使える、霧を定着させられる


ここからはドボの歴史

~~~古代~~~

トゥメルでは自然発生した不死身の女王の血を輸血して後天的に不死身になる計画がスタート、ヤーナムの名を冠した土地ができるが副作用として獣になる
イズでは人体実験の果て上位者(エーブリエタース)の作成に成功、魔法(秘技)を手に入れる
ローランでは獣化した一部の者が獣の身のまま環境に適応し独自の進化を遂げた


~~~過去~~~

古代の遺跡から一連のソウルの業が知られ、漁村でビルゲンワースによるこの時代の人体実験がスタート

輸血で獣化した者や化物になった被検体による被害を防ぐため狩人システムも開始

その成果の上位者ゴースが赤子を宿したところ、上位者の子は先天的に力を使いまくれて適応性がMAXで巨大な空間を作れたりもっとすごいことが判明

一方ヤーナムで古代と同じように後天不死身をやっていたら獣が増えすぎて人の生活がヤバくなったので
獣を駆除するためにヤーナムを燃やした所獣の灰が拡散したことで色のない霧の力、すなわち夢を発見

霧の力によって上位者の性質を設計することが可能になったので
霧の力と上位者の力の合わせ技である上位者、月の魔物を作成
人体の構成を上位者の赤子と同じように入れ替えるのを目的として設計した

啓蒙、知性のない、つまり素質のない池沼の素体をもちゃんと上位者にできるかどうか、
月の魔物の稼働をロマで実験、それに成功し、透明化したり計画や不死身の血族などを「隠す」能力を設計

ロマの成功例を元に上位者オドンを作成、ヤーナム、マリア、偽ヨセフカの血族3人の卵子あるいは孕んだ子の情報を夢の力で書き換え
血族の不死身の血と遺伝子組み合え新生物である上位者を接続する鍵「瞳のひも」を作成
(3本の脈のあるへその緒として完成した瞳のひもを体内に取り入れると血を抜かれても死なない不死性と霧を使った能力への適応力が同時に手に入る)

ローレンスは上位者化に反対してウィレームの元を去り、人の枠で不死身化することを推奨
獣対策で狩人が力を使うための夢を維持するため自身の灰を霧にして垂れ流す薪の王になる

ゲールマンや工房、獣の被害に対抗するため狩人システムを管理


~~~現代~~~

ウィレーム体の一部だけ上位者化している口のきけない廃人になり、ビルゲンワースの面子は半端な上位者、眷属になっていた
ウィレームは秘匿したため研究成果が伝えられないままビルゲンワースをシンボルとしたメンシス学派ができる

医療教会もまた過去を秘匿されたままなので、メンシス学派はヤーナムの住人を人体実験や霧の材料にすることを企み
その道具としてロマの前例をモデルにアメンドーズを作成(時期と動機の根拠は、メンシス学派のウラを隠すことを目的に、蜘蛛と化したロマの隠す力を引き継いだゆえに手足が8本あるという推測)

メンシス学派がアメンドーズを使い隠したヤハグルと教室棟を拠点に、
ヤーナムにたくさんいる後天不死者を材料にした灰の霧によって悪夢を作成

女王ヤーナムが囚えられ、いずれかの上位者(おそらくオドンの再稼働)によって母体に介入し血族ハーフ上位者であるメルゴーを作成、利用が企まれる

実験体は聖歌隊で確保。ビルゲンワースの月の魔物と同じ要領で、今度はメンシスが夢と上位者の組み合わせによってメルゴーの乳母を作成
メルゴーの乳母がメルゴーを切り刻むなどで苦痛、ストレスを与えることで、メルゴーに力を発揮させる
また乳母の力によってヤハグルからヤーナムに霧を拡散、悪夢を維持
(メルゴーを隠し、存在をあいまいにするためにまたロマの前例を利用したため手足8本)

メルゴーによってデモンズソウル的デーモンであるメンシスの脳みそが発生
(メンシス学派、というかミコラーシュはウィレームの遺した眼という言葉の意味を曲解しているため、
作ったメンシスの脳みそは当然役に立たなかったので
吊られた鎖で剥き出しの神経を刺激され苦痛を与えられることで凄まじい攻撃を放つ兵器として転用される)

主人公がヤーナムの街のことを聞きつけ、本編へ
儀式(ヤーナムの後天不死者をまとめて溶かして霧を作って拡散)によって月の魔物が再稼働、霧が拡散したことでオドンが能力を発動
オドンの近くにいた血族アリアンナの腹にいた子の遺伝子情報が書き換えられ新規に瞳のひも付きの血族上位者ハーフ赤子と化した


~~~~~~~


といったところ
真祖の血を輸血して不死身にしたやつらの死体を溶かしてすごい生物や新世界を作れる灰の霧を作ろう!というやつで
透明化や幻の力でそれを隠してる
ソウルシリーズに対応させると‥‥

ローレンスすなわち教区長=薪の王
メンシスの脳=デモンズソウル的デーモン
でかい敵=強いソウルで体がでかくなる、そのまんま
獣=亡者
メンシス学派=古竜院
上位者=飛竜、人工古竜
ビルゲンワース=1のシースや2のアンディール等人工古竜の研究勢力
血の遺志=ソウル



オオカミ、ヘビ、クモ、ナメクジなど生物モチーフにはすべて意味があったりするのだがそろそろ書いていて疲れたのでまとめに入る



【感想、まとめ、総括、あとがき】
ブラッドボーンが示したのはソウルの業の発祥とその広がり方であり
ソウルシリーズとはむしろ違う世界であるという見せ方はできていると思う

同じ死に覚えゲーの部分を世界観の元にしているものの
その不死性の由来には違いがあって
ダークソウルシリーズではドラゴンが発祥であるのに対し、ブラッドボーンはヒトの女体が発祥である

デモンズソウルではソウルの業は古い獣を封印から解いた事で復活したとされており詳細はわからないが
ダークソウル2のアンディールが古い獣とそっくりの姿をしていたり、のちの3ではデモンズの火防女の死体が最初の火守女として登場したり
共通して飛竜が存在することからデモンズがダークソウルシリーズと繋がりがあることを仄めかしている

それはデモンズとダークソウルがファンタジーであるのに対し
ドボは血をタイトルに冠したゴシックホラーであるがゆえに
その違いはなくてはならないものとして機能している

もしもドボの血族はソウルシリーズと同じ古竜の血族だったと言われても、竜要素どこいった!?となるし、上位者や秘技を探求するのがだいぶズレた行動なためいまいち物語に浸れないし
一方でソウルシリーズで世界からソウルが失われた後、不死やソウルが自然発生するのは突然変異した人間女の血からです!と言われても、わざわざ色んな種族や既存ですごい生物がいるのになぜ人間女?となるし
ファンタジーの世界に女体崇拝を持ち込むことで一気に陳腐化してしまう
特にデモンズソウルのデーモンは女体崇拝とは真逆の、それこそ真の意味でドボの上位者的思考的なものである


不死やソウルのシステムを世界観にした所だけを共有し、ストーリーのジャンルを「不死性の由来の違い」という部分で差別化しているのである


しかし、ソウルシリーズとドボーンは明確に異なる無関係の世界である、というのも断言できるものではなくそれもまた違うと思う


呪いとは運命であり、突然変異で不死身の肉体で生まれてきたドボの血族と
ある日体にダークリングが出現し不死となった人間(小人)たち

詳細は異なるものの大まかにはここに違いはなく
どちらも不死の呪いを背負った人間である

ダークソウルシリーズにおいてダークリングの発生はOPなどで語られるものの、
その時代からゲームが始まる時代までの間は建物が朽ちるレベルでかなりの時間が経っているはずだが
起こったことは一切語られていない

ドボでは逆に、古代以前の血族の情報は知りえず
ダークソウルシリーズで語られれない範囲の歴史のみがゲーム内で明らかになる

よって、もしかしたらドボはソウルシリーズの中、同じ世界のどこかの地域で起こったことかもしれない(そういう設定にしても筋を通すことができる)し
それは2や3よりも後、深海の時代に人間たちの技術力が進歩したところでまたソウルの業が湧いてしまう事を描いたものかもしれないし、
あるいは魔法や古い獣の発祥を描いたデモンズより前の話かもしれないし
きれいに発売順、2と3の間かもしれない

想像の余地が与えられている



そして世界が共通していようがしていまいが、
ソウルシリーズでいまいちふわっとしていた部分を理解しようとする助けになることには違いない

例えば上で書いた以外も、骨片や篝火の設定ができたダークソウルにおいてなぜ火の魔法だけ呪術という枠になったのか、装備アイテムとしての呪術の火ってなんなのか
という説明も兼ねている
つまりその場で自分の不死の身を燃やして霧、夢の濃度を上げるというメカニズムで放っている魔法ということ
不死の呪いを利用し自分の体を焼いているので呪術というネーミング

また3でドボとの繋がりも仄めかされていて
ゲール爺が死体の経口摂取でソウルを得ようとしていること、その後の戦いで自分の血を見た時「これが血か 暗い魂の血か」というセリフが
闇のソウルの経口摂取に成功したこと、それがゲール爺の体に血の遺志として顕れたことを示している
さらにその後の第三形態では処刑人の手袋やローゲリウスの技、つまり人間性に近い不死の血をおそらく啜り交わったことで使えるようになった技と似たエフェクトの技を使ってくること
これはローゲリウスがアンナリーゼに絆されていたという事の示唆にもなっている


こうしてつながりを見ると、
2のルカティエルによる「誰もが皆呪われているのかもしれない 生まれながらに」という台詞は
それ以前の1やデモンズの味わいを深め
のちのドボと3のテーマや設定にもかなり色濃く反映されていることがわかる



ソウルシリーズについて全作細かく語ろうとすればきりがないので今回はこのへんにしておく


さて普段ゲームとかで設定や役割についていろいろ考えてもこうやって書いたりしないのだが、ソウルシリーズはそうさせたい何かがある

それはやっぱりただプレイヤーが考える必要があるだけでなく、それが複雑で断片化されているからまとめたくなり、表明はそのついでにするという形になっている事に違いがあると思う
複雑だったり断片化されていないければ整理するという意義がなくなり、ただ「わかった」か「わからなかった」かだけとなり、その作品に関心を持っている人口とは関係なく
わざわざ口にすることがただの無粋になってしまうのではないだろうか


【2/18追記】
これは書こうと思ってたけど忘れていたことを思い出したので書いておく
「吸血鬼」は創作においてよく使われる設定だが
長く広く親しまれているのは吸血という点というより、吸血鬼キャラにありがちな設定だ
西洋の貴族の服を着ていて不老不死なイケメン、美少女、超人的な力、超常的な能力、ゾンビ的な感染、人に似た姿の人外など
吸血をするから吸血鬼という名前であるのに、より広くウケるのは吸血ではなくそういった要素であり
広くウケる要素を乗せるために色々セットでウケる要素がついてくる吸血鬼にしたった!という場合もよくある

それどころか、ブラッドフォビアやグロ表現への自粛として「血を吸わない」という設定があったり、
明言されなくても吸血鬼キャラの吸血を劇中で取り扱わない、連想させないような作りの事もある

そこまでいくと、じゃあもう、最初からそのキャラを吸血鬼として出すなよ!と言いたくなる

と、ここまでドボーンという血がタイトルのゲームを完クリして(でも1つのキャラで武器全部集めるとかいうゲハ実績らしい糞実績はやってない、トロフィーは元からガン無視主義)
考察を書き、吸血鬼が吸血しない批判をしたり
ギルティのエフェクトが減ったの例に出血表現を漏らさず挙げたりしている俺だが

実は自分自身がかなりのブラッドフォビアであり(ちなみに虫もダメ)

リアルだろうと作品だろうと血どころか血や脈という文字を見るだけでクラクラと気持ち悪くなり
今までの人生で血液検査どころか注射も全力拒否で出来る限り回避をしてきたし
ゲームに血は出さないでくれと思っているし(普通に出血表現は気持ち悪くなるけど、どうしても血を出したいなら部位欠損や被虐リアクションなど徹底的にやれ派)
その程度は例えば心臓の音でも気持ち悪くなる(DbDはかなりキツい、バスドラムっぽくリズムもちょっとリアルでないという配慮を施されているSIRENNT程度ですら心音という表現だとやっぱり効いてくる)
し、世間では全年齢の代名詞レベルで名が通っている桜井政博の全年齢タイトル、メテオスのアーニマも気持ち悪くてプレイできない
そういうレベルである


にもかかわらずブラッドボーンは気持ち悪くならずにプレイできて
初めて気持ち悪くなったのはもはや血は無関係の部分で
それも最後の最後、初見1キャラ目では気づかなかった漁村、それも終盤の地下、魚っぽいナメクジで埋め尽くされているエリアである
そこまで一切気持ち悪くなること無くプレイすることができた

つまりこれだけ血をドバドバ出してまさにグロテスクという設定を描いているのに
ブラッドフォビアへの対策が完全に機能している、まずこれだけでもすごい

そしてここでやっと吸血鬼の話に戻るが
ドボーンの血族、これがまーじですごい
でもかくのめんどいから「ドボいいよね‥‥」でいいよね?ダメ?
でも吸血鬼不死鳥狼男とかとドボ全体とそれを求める側の人の対比は比べるためにわかりきってることを1つ1つ説明書きする事になるからとにかくめんどい!
とにかくドボの設定の合理性はすごい!

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