東方鬼形獣がイマイチな理由から考える、ゲームで失敗した時のペナルティについて

東方鬼形獣は決してクソゲーではないはずだが、ノーマルとEXが難しい以前にイマイチ楽しくないので、システムよりも根本的なゲーム部分で考えたら思い返される事があった

それはペナルティの均一化

基本的にSTGの被弾の実質的なペナルティは序盤ほど重い
クリアが著しく困難になったり、リセットしたほうが早いということになりがちで
序盤のステージを繰り返し、それもただの挑戦ではなくミスのない完璧なプレイすることを強要されるストレスに繋がる

この問題はある事に似ている

サイドビューアクションの落下を即死とするか否かの問題だ

サイドビューアクションで避けるべき敵や弾にぶつかった時、大抵のゲームでは1度2度、あるいは5度程度ならチェックポイントからやり直しにならず、
その場で耐えられるようになっている
直接的に体力ゲージやハートなるものが減っていくものもあれば
体が小さくなる、リングが散らばる、相棒が居なくなる、鎧が脱げるなど様々な表現で「今のミスは許すが次はない」という救済、あるいはバランス調整がなされている
場合によってはミスした時の無敵時間を使って無理矢理先へ進む事が前提にされている場合だってある

一方でそうしたミス救済要素がありながらステージから落下すれば一度のミスでやり直しになってしまう場合が多くある

これは明らかにペナルティが均一でない、偏りがある状態で
穴を飛び越えることが主題のジャンプアクションで、そのアクセントとして敵や弾が登場している、というコンセプトでさえないのならば
少し考えれば落下やトゲで即死なんていう設計はアンバランスであることにはたどり着けるはずで
いかに思考停止してスーパーマリオを常識と捉え考えなしにパクっているだけのゲームが多いかが伺い知れる

近年でいう魔神少女のように落下しても敵にぶつかった時と同じ様にハートを1減らして落下直前の足場に復活させるのがペナルティが均一なシステムである


東方で序盤で死んだらリスタート、というのは何も鬼形獣に始まった話ではなく慢性的な対応されていない問題なのだが、特に鬼形獣と、
あとよく似たシステムの星蓮船ではとりわけ序盤の被弾やベントラーの失敗で嫌なリスタートを何度もさせられた記憶が強く残っている

縦STGの被弾ペナルティ均一化の成功例には、Hellsinker.とバトルガレッガがある
前者は中盤でライフが最大になることが前提の設計になっており、最大状態でもさらに何度もエクステンドするくらいに残機が増える機会が設けられている
そんなことをして大丈夫かと一見思うかもしれないが、ライフが最大の状態から後半で一気に殺しきってくるような設計である
そしてゲームのシステムを理解していなければ序盤でゲームオーバーになるし、スコアの稼ぎ方や隠し1UPや効率の良いエクステンドの方法を知らなければ中盤でもゲームオーバーになる

後者はランクシステムで、プレイヤーがアイテムを取得したり攻撃したりするとそれだけでどんどん難易度が高くなってゆき、
無計画に他のSTGのようなプレイをしているとクリア不可能なほど敵の攻撃が激しくなってしまう
ランクの上がる行動を控えてもランクの上昇が緩やかになるだけで、被弾のみで難易度が下がるようになっている
これによって序盤に被弾してもゲームを簡単な状態にして進めることができる


東方の中でも、言わずと知れたエポックメイキングである文花帖シリーズはその場でリトライができるし
へるしんかのように中盤でライフが最大になるくらいエクステンドできるタイトルは当然ながら星や鬼、他エクステンドがシビアなタイトルほどはリトライに悩んだ覚えはなかった

鬼形獣はカワウソのロアリングさえできれば乗り切れるものの、
単純にエクステンドできる回数が少ないのと霊の回収に気を取られて交通事故を起こしやすい事が難易度の引き上げと最初からのやり直しへの誘導になってしまっている
また、ロアリングをさせる事ばかり考えられており、他のシステムの調和がとれていない
魚霊があるのだから被弾などでパワーをきちんとダウンさせ、
パワーが最大の時はPを取得画面位置による可変の最高得点上昇とし、
点数エクステンドを併用、
グレイズは動物霊やかけら回収促進として地霊殿と同じその場のアイテム全画面回収カウンターとして機能させれば
輝針城のようにきちんと各システムが互いに作用し合うゲームになっていたのではないか、という残念感がある



‥‥さらにこのペナルティの均一化の話は、格ゲーでも同じことが言える
多くの人は固めが強いゲームと聞いたら、嫌なイメージを持つかもしれない(絶対ブレイブルーのせい)
しかし固めを強くすることそれ自体は、攻撃をガードしてしまうことにリスクを与える事で
2D対戦ゲームは自然状態で「待ち」が強くなるのでそこからの脱却や、立ち回りのミスを許される事につながる

ガードに成功すれば反撃ができる、という仕組みなら
攻撃のスキを減らして反撃してきた相手へのガードを間に合わせてしまえば、反撃した側からすればせっかく相手の攻撃を見切って避けたのに何故か不利になっているという理不尽につながる

逆に攻撃のスキを増やすことで攻撃を空振れば絶対に相手からダメージを受けるようにしたなら
相手がスキを見せるまで「待ち」をしなければならない、自由に動くことが出来ない窮屈なゲームになってしまう

こうした自然状態のジレンマ、理不尽、待ち一択状態を打開するのが
「固め」
これによって単なる体力の減らし合いにワンクッション、ターンの概念を挟むことである

ひとたび攻撃をガードさせたら有利な状況が続き、つまり自分のターンがはじまる
中下段や投げといった崩しや、削りやゲージ稼ぎによる優位行動、暴れ潰しのようなトラップなどを仕掛ける主導権を獲得できる
つまり直接ダメージを与える前にダメージを与えるチャンスを得るようにすることで
逆に固められている側が対価を支払ったり読みを通すことで、攻撃を空振りして相手に触られてもほぼ無傷で逃げるチャンスを同時に与えている

そう、固めとは攻撃している側が気持ちよくなるためだけのシステムではなく
相手に触られた=立ち回りでのミスを許すための、攻撃される側への救済措置(であるべき)なのだ!
いかにスタイリッシュに固めるかではなく、
攻め側に攻撃をいなしながら相手に触れた報酬を与えつつも
攻撃をスカらせたり立ち回りでミスをしてしまった守り側にいかに逃げるチャンスを与えるかというのが
格ゲーを設計する上での固めに対する考え方であるはずなのだがブレイブルー等はそれをわかっていなかった


最後に‥‥
東方本家唯一のクソゲーは神霊廟であり、例として話題にしやすかったまでであくまで鬼形獣はクソゲーというほどではないことをもう一度言っておこう

0 件のコメント: